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特装版「死母性の庭」
曽根富美子
子どもは可愛い、自分の子どもならば尚更……そう思っていた。
“母”になるまでは。
学業優秀で眉目秀麗、誰もが羨む経歴を持ち、理想的な夫を持った瞭子だったが、
何もかも思い通りにいかない初めての「育児」に疲れ果てていた。
母乳を飲まない息子、眠ってくれない息子、体重の増えない息子ーー
正解のない育児の果てに瞭子の中で、次第にどす黒い衝動が芽生えていった。
表題作「死母性の庭」ほか、母性に纏わる衝撃作「子どもの私が震えている」「アンビバレンス」「逃げられない女」を収録。
「親なるもの 断崖」で女性の悲劇と強靱さを描いた曽根富美子氏の
母とは?の真摯な問いを描ききる問題作、リバイバル配信開始。 -
天上の弦
山本おさむ
▼第1話/母▼第2話/思い描く▼第3話/日本語▼第4話/飛行機▼第5話/鉛筆▼第6話/相川先生▼第7話/荒城の月●主な登場人物/陳 昌鉉(後の名バイオリン職人。幼少の頃はひ弱だったが、何でも器用に作り出す少年)、大善(昌鉉の母。息子を何よりも愛する人)●あらすじ/「東洋のストラディヴァリウス」と称されるバイオリンを、たった一人で作り上げた男・陳 昌鉉。1929年、彼は当時日本の支配下にあった朝鮮半島で産声をあげた。母・大善にとっては、十年待ち望んでやっと生まれた子供だったが、母乳が出ないため、昌鉉は栄養失調でやせ細っていった。思い悩んだ母は、山を越えて隣村へ“もらい乳”に行くが…(第1話)。●本巻の特徴/日本統治下の朝鮮半島で、母の愛に守られて伸びやかに育つ昌鉉少年。やがて、人生を左右することになる相川先生との出会いが…。●その他の登場人物/相川先生(昌鉉の家に下宿している日本人教師。昌鉉の担任)、成哲(何かと昌鉉につっかかる近所の悪ガキ)