”描き下ろし新作エピソード「素粒子の澱」を特別収録した、鬼頭莫宏の描くSF傑作オムニバス完全版。
いつか存在した、今ではその存在すら忘れられた外殻都市。
そこに暮らした人々の、それぞれの愛のかたちの物語。
妻を思い過ぎたあまりに彼女の過去まで独占しようとした男の話。
死にゆく自分を3年間だけ救った男にそれでもなお感謝をした少女の話。
死んでやっと妻へ伝えるべき言葉を得た男の話。
ほれ薬を求めたために本当の自分の気持ちに疑いをもってしまった少年の話。
人ならぬものを愛した男の話。
触れられない少女達にしか関心を持てなかった男の話。
生きた書庫として禁制の本を所蔵してしまった少女の話。
都市の抱いた夢の残滓は、永訣を越えゆくか。”