長く ラノベ の検索結果 4件
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箱庭の歳時記 ~この人を、愛そうと、決めた~
砂川雨路 カトーナオ
父を亡くし、天涯孤独となったいばらを引き取って夫となった扇唯一。だが23歳年上の夫が父の話をする時、いばらの胸は微かに疼く・・・・・・。
大晦日の昼下がり。高校生の扇いばらは、温かなマンションのダイニングであんこ作りに取りかかっていた。ザルに小豆をあけ、さっと水洗いする。手で豆を掻くと、ジャキジャキと小気味好い音が響く。これを雪平鍋に移し、たっぷり水を入れて、ガスコンロの火をつけて煮込む。高校の先輩たちに初詣に誘われたいばらだったが、保護者の同伴なしに深夜に外出するのは駄目だと、夫の唯一に止められた。沸騰してきた鍋を流しに運び、小豆をザルにあけた。いばらにとっては、初めて経験する日本のお正月になるはずで、すべてが新鮮だった。長くイギリスで暮らしてきたいばらは、日本の文化や行事をよく知らない。幼い頃に母と死に別れ、4か月前に父も亡くしたいばらを迎えにきたのが、父の大学の後輩の唯一だった。23歳年上の唯一と結婚して日本で暮らすことになったのだ。玄関の開く音がする。唯一が帰ってきた。「おかえりなさいませ、あなた」。棒読みの挨拶。唯一は「それ、やめなさい」と嫌がるが、いばらは夫婦らしいやりとりというものを試してみるのが好きだった。いばらと唯一、二人は秘密を抱えている―― -
異世界忠臣蔵
伊達康 紅緒
ーーこの仇討ちは、伝説となる。
聖塩に護られし地、レディア王国。
だが悪臣キーラによって王は殺され、国家存亡の危機に立たされる。
列国最強と謳われたレディア騎士団も、護国派と仇討ち派で分裂の危機ーー。
現代人の寺坂喜一がやってきたのは、そんなときだった。
美少女団長クラノスの信頼を得て、仇討ち派の女騎士アンスヴェイを説得にかかる!
「黙れ乳騎士!」「何よ尻騎士!」
「やめろ! 過度な個人攻撃は、俺の世界でも問題になってるぞ!」
……おのおの方、頼むから仲良くしよ?
再現せよ忠臣蔵! 痛快“討ち入り”ファンタジー活劇、ここに開宴!!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
森の魔獣に花束を
小木君人 そと
ひとりぼっちの魔獣の少女に恋をした。
とある村の近くに、人を喰う魔物が棲むという禁断の森があった。家の跡継ぎになるための試練として稀少な青い薔薇を探す旅に出た少年クレヲは、同行者の裏切りに遭い、その森にひとり取り残される。そこでクレヲが出会ったのは半獣半人の魔獣の少女。なんとか魔獣の少女の気を惹いて、食べられることを免れたクレヲだったが、その代わりに彼女のペットにされてしまった……。そして、始まる奇妙な共同生活。純真な心を持つクレヲと一緒に暮らすうち、ずっとひとりぼっちだった魔獣の少女の心にやがて変化が現れる。だが、二人の日々はそう長くは続かなかった……。
人間と魔獣の恋を描いた心温まる異色のファンタジー小説。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
くくるくる
一肇 大朋めがね
ここには海より深い愛がある。
高校入学式の翌日、語木璃一は登校途中、八重桜の木の下で、一人の少女に出会った。璃一と同じ高校の制服を着た女子生徒。長くふわりとした髪を持つ小柄なその少女は、危なっかしく青い自転車の荷台の上に立ち、頭上へと手を伸ばし、桜の太い枝に荒縄をくくりつけている。それを見て璃一は思った。
「ひょっとしてこれは。首吊りってやつですか」
しかしそのあまりの容姿の美しさに、璃一は彼女が荒縄を首に装着するのをただ静かに見守っていた。やがて桜の花びらが降り、少女が宙に浮かんだ、と、同時にぶちんとものすごい音がしてそのまま落下した。彼女は「げうー」と言いながら、こんな悪態をついた。
「もう百二十二回め! また首吊りに失敗! これはもう呪われてるといってもいいんじゃないかな!」
自殺を試みようとするとなぜか天変地異が巻き起こり、どうしても死ねない少女・なゆた。そんな少女に一目惚れして延々とストーキングする少年・璃一。なゆたは天に誓う。
「いつか必ず死んでみせるの!」
そんななゆたに璃一は叫ぶ。
「ぼくと結婚してください!」
桜の下で巡りあい「括る繰る」でクルクル回る少年少女の不思議な恋物語!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。