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ロメリア戦記
有山リョウ コダマ 上戸亮
人類を救うため、どん底令嬢が立ちあがる!
「ロメリア伯爵令嬢。君との婚約を破棄する」
アンリ王子がそう宣言したのは、魔王を倒した直後だった。
王子の側には聖女エリザベート、帰らずの森の賢者エカテリーナ、東方の女剣士呂姫が並び立ち、「役立たず」と弾劾の指を向ける。
だが王子達は知らなかった。
ロメリアには幸運を授ける『恩寵』と呼ばれる奇跡の力があることを。
婚約者を失い、仲間からも見捨てられたロメリアだが、彼女はくじけなかった。
祖国にはいまだ魔王軍がはびこり、魔族に囚われ奴隷となった人たちがいたからだ。彼らを救うため、行動を開始したロメリアの前に数々の困難が立ちはだかる。
まず軍隊が手元にない。傷を治す癒し手もいない。資金が無い。
しかしロメリアは、全ての問題をアグレッシブに解決していく。
「軍隊がない? 地方領主を脅して砦を乗っ取りましょう」
「傷を治す癒し手がいない? 教会と話をつけて融通してもらいましょう」
「お金がない? 商人たちと商談して、資金を出させましょう」
「手に入れた兵隊が新兵ばかりで使い物にならない? 魔物を退治して経験を積ませましょう」
そして――ロメリアは忠誠を誓う者たちとともに、いま出陣する!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
人形遣い
賽目和七 マニャ子
世界はわたしを中心に回っているのです。
わたしの名前は坂上神楽。
凄くかわいくて頭が良く、芸達者で器用で立ち振る舞いも完璧。ダイヤモンドもはだしで逃げ出すとまで謳われる、まぁごく普通の世界的天才美少女である。
わたしのような、存在が主人公級の美少女というのは、やはりトラブルに巻き込まれるのが常なのである。そうした面倒に巻き込まれる自身の体質にだけは少し嘆きたくもなるものだ。
嘆いて、溜息を吐き、それからわたしは顔を上げ、ああ、溜息を吐く仕草すらも可愛らしい。そんなことを思いながら、胸に抱いた兎の人形を抱きなおし、二人の人物に視線を向ける。
壁際に追い詰められた、黒髪の少女と、狼面の男が一人。考えるまでもなく目の前の人狼が少女を襲っている場面なのだろう。
わたしはこのような人ならざる化け物を人知れず退治していく仕事をしている。そう、この『人形』を遣って――。
第7回小学館ライトノベル大賞、ガガガ賞受賞作。
イラストを担当するのは、ライトノベルの挿絵や原画などで活躍中のマニャ子
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。