丁寧 男性 ラノベ の検索結果 2件
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先生とそのお布団
石川博品 エナミカツミ
まだ「何者」にもなれない「誰か」へ――。
家に猫がいる者ならたいてい「うちの猫は特別だ」という。
だが彼とともにいた猫は本当に特別だった。
九年間、小説を書くときにはいつもそばにその猫がいた。その猫がいなければ小説なんて書けなかった。
彼は猫を飼っていたわけではなかった。ただ猫とともに暮らしていた。
――本文より抜粋
これは石川布団という作家と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩の日々。
企画のボツ、原稿へのダメ出し、打ち切り、他社への持ち込みetc...
様々な挫折と障害に揉まれながらも、布団は小説を書き続ける。
時には読者に励まされ、時には作家仲間に叱咤され、ひとつひとつの出来事に、一喜一憂していきながら、素直に、愚直に、丁寧に、時にくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら――。
これは売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人々へのエール。
優しく、そして暖かな執筆譚。
カクヨムで話題を呼んだ、奇才・石川博品の同名短編小説を、大幅加筆修正した完全版。
イラストは『バッカーノ!』『異世界食堂』など、各所で活躍中の人気イラストレーター・エナミカツミ。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
ボーパルバニー
江波光則 中原
今宵も、バニーガールがやってくる。
――3年前、とある6人組が、中華系マフィアの金庫番一家を強襲し、3億円を強奪した。
その事件は、闇にのまれ、以降ニュースに取り沙汰されることもない。
それから波風の立たぬ生活を送っていた俺たちだが、ある日仲間うちの一人が、繁華街の路地裏で首を切られて死んでいた。
心当たりは、もちろんあった。
愉快犯で、たまたま仲間が殺されただけ、そんなことも考えた。
だが、同時にまた一人、仲間が消えた。
完全に、クロだった。
狙われているのは、俺たちだった。
そして、街には不思議な噂が流れ始める。
バニーガールが、殺しに来る、と。
華奢な見た目を装った、バニーガールが襲いに来る、と――。
決して犯してはいけなかった罪を、きっと犯してしまったのかもしれない。その贖罪にはもう遅く、しかし罪を受け入れるにはまだ早い。
俺たちは、この理不尽な死神から、逃げたり立ち向かったりしながら、緩やかに死んでいく。
――そして今宵も、彼女はやはり、やってくる。
ピンヒールを優雅に履いて、レオタードに身を包み、真っ白な髪の綺麗な顔で、ご丁寧に赤いグラサンまでかけている。
そうだ、彼女がやってくる。
バニーガールがやってくる。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。