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帝国第11前線基地魔導図書館、ただいま開館中
佐伯庸介 きんし
女司書が抗う、戦場の魔導書ファンタジー!
「クソみたいな図書館だ」と、女司書は吠えた。
《連合軍》と《魔王軍》との戦いが続く世界。
長い時が過ぎるなかで、人がかつて持っていた魔力はそのほとんどが喪われ、人類は鉄と火を主力とした軍隊と『勇者』『魔導具』といった数少ない神秘の力をもって魔族に相対するようになっていた。
戦況を打破するため、帝国皇女は過去の遺物たる『魔導書』の管理運用を狙い、最前線には似合わぬ『基地図書館』を試験的に配置。魔導書の修復・活用をその主任務とする『魔導司書』がその運営を行うことになった。
半信半疑だった帝国軍部は魔導書の力を見、その兵器としての本格的な運用を図り始めるのだがーーそこに、ただひとり、抗う女がいた。
それは軍基地図書館の『司書』の任を受けた女。
本を愛し、愛しすぎたゆえに職を失いまんまと戦場まで連れてこられてしまった女。
筋金入りの司書ーー魔導司書カリア・アレクサンドル。
眼鏡で八重歯で巨乳にソバカス、朗らかに良く笑い、すぐに手が出るいい女ーーそして誰より本を愛する女!
本を愛する司書の誇りが、戦争という現実に抗い始める。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
友人キャラは大変ですか?
伊達康 紅緒
出会っちまったぜ、俺の理想の主人公に!
俺の友達、火乃森龍牙。高校に入ってできた、気の置けない親友。
龍牙の第一印象は、「アニメとかに出てくる主人公っぽい奴」だった。そしてその思いは、すぐに確信に変わった。
まず、こいつは過去をほとんど話さない。で、よく授業を抜け出す。帰ってきたかと思えば、唇から血を流してたり、制服のあちこちが破けてたりする。
そして龍牙の周りには常に美少女がいる。学園のアイドル、雪宮汐莉。剣の達人であるクールビューティー、蒼ヶ崎怜。謎の転校生、エルミーラ・マッカートニー。こいつらが龍牙の前に現れると、俺は非常に疲れる。それぞれが龍牙と絡むたび、「お、おいリューガ! どうしてお前が雪宮さんと知り合いなんだよ!」とか、「う、麗しの剣士である蒼ヶ崎さんが、わざわざ教室までリューガに会いに!?」とか、「エ、エ、エルミーラさん! リューガなんかのドコがいいんスかぁ!」とか、必死に騒ぎ立てる羽目になるからだ。
……じゃあ何でやるのかって? それは俺、小林一郎が友人のプロだからだ。
主人公の中の主人公、火乃森龍牙を支える親友キャラこそが、俺の生き様だからだ。
――ベストフレンダー小林が贈る名助演ラブコメ、開幕!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。 -
飽くなき欲の秘蹟
小山恭平 ぺらぐら
もしかしてお姉さん、異能持ちですか?
僕――世杉見識は目を放すとすぐサボる、意識の低いアルバイトである。自慢することではない。
バイト開始当初は、「能転売業なんてうさんくさ過ぎる、すぐに逃げよう」なんて思っていたけど、異能関係者は変わっている人が多くて、ちょっと楽しいと感じている。
異能というのは――超能力とか秘蹟とか、そんな呼ばれ方をする、とにかく不思議な力のことだ。それは人の願いと共に現れ、いつのまにか消えていく、一時の奇跡である。
そう稀少なものでもないが、誰もが自由に手にできるわけではない。
だから、持たない者は皆こう言う――自分も欲しい。
欲しいと思う人がいるのなら、そこにビジネスチャンスは生まれる。
異能を売りたい人と、異能が欲しい人を結ぶお仕事――異能転売業はこうして成立した。
僕の働く秘蹟商会もそんな異能転売業社の一つである。
店舗は埼玉の片隅にある古い建物。働いているのは店長とアルバイトの僕二人だけ。まだまだ規模は小さいが、明日の成功を夢見て僕らは日夜奮闘している。
「さてと・・・・・・
ポンコツかわいい店長のために、異能力保有者を捜しに行きますか」
第6回小学館ライトノベル大賞審査員賞受賞作。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。