練習室から流れるバイオリンの旋律。それは完璧な演奏ではなかったが、その音に魅かれた。そして何より私はその音を奏でる少年・礼音に魅かれた。経済的な理由で退学しようとしていた彼を私は自宅に住まわせることにした…音大の教授と生徒、二人を取り巻く人々を巻き込みながら悪意はしたたかに、だが静かに忍び寄る。